『臥游』とは、寝転がって風景画を眺め、絵の中に遊ぶこと。
旅が遠い憧れであった時代、
人は絵画の中の遥か憧れの地へに心を飛ばして、その情趣を楽しみました。
出光美術館で開催中の【名勝八景~憧れの山水】は、
いわゆる『山水図』、水墨で描かれたものを多く展示していました。
素早い筆さばきで、大胆に単純化された情景。
水墨の織りなす宇宙的な滲み。幻想的な薄墨の表現。詩情豊かな運筆。
憧れは心を動かし、体を動かします。
その形が具体的でないほどに、憧れは募るものかもしれません。
名勝への憧れは、文人ありきであったと説明がありました。
現代でいえば「そうだ 京都、行こう」というキャッチコピーのようなものでしょうか。
景観の優れた土地があり、舌の上で転がるような響きの良い地名があり、
その地を詠う心揺さぶる詩がある…。
10/14まで東京都美術館で開催されていた現代水墨画協会の『現水展』。
描かれるモチーフは現代的なものがほとんどで、毎年抽象画も多く見られます。
現水の展示作品の傾向を説明するときに
「いわゆる『山水』『花鳥風月』がテーマの作品は少ないんです」
などと簡単に言ってきましたが、
海を渡って、時代を超えて、長く描かれてきた憧れの形『山水』について
今になって、深く思いを寄せているところです。
「そうだ 山水に、学ぼう」
狩野探幽、久隅守景、岩佐又兵衛、長沢芦雪、池大雅、田能村竹田、鳥文斎栄之
などなど、憧れの絵師たちに出会えます。
【名勝八景~憧れの山水】@出光美術館
(展覧会説明より一部抜粋)
北宋時代(960-1127)後期、画家・宋迪(そうてき)は
湖南省の名勝・瀟湘(しょうしょう)地方が見せる折々の風光を、
情趣豊かな八つの情景に描きました。
瀟湘八景(Eight views of Xiao and Xiang Rivers)と呼ばれるこの画題は、
後に山水画の好画題として画家たちの発想の源となっただけでなく、
日本でも大いなる憧れをもって受け入れられました。
本展ではこの瀟湘八景を出発点に、
西湖など中国・日本で古くから描き継がれた情景を通じて、
人々が心に抱いた憧れの山水の世界を紹介します。
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