曇天の5月の最後の日。
初めてGINZA SIXへ足を踏み入れました。
他のフロアはオールスルーでまっすぐ6階、
吉増剛造先生と堀江敏幸先生のトークイベントへ。
「曇天の思考、可聴帯域を超える音に耳を澄ます」
というテーマを柱に、
音源の見えない音、聞こえない音、忍び寄る音、五感を通じたさまざまな不安がにぶく震えて伝わって来る、
強い怒りの発現が水底の花火のように見えた気がした、
凝縮された熱の籠った空間と時間でした。
店内の一部を紗の布で仕切っていて、まるで蚊帳のようだと吉増先生もおっしゃっていたけど、
帳が揺らめいて、異空間に運ぶ船のようで、揺らぎから目が離せなかった。
終了後、広々とした店内を歩いていると天井の高いイベントスペースがあり、
『あなたの空だ。人の空にするな。』をテーマにした現代作家の展示がされていました。
語感の強さに反して、空に踏み込んでくるものへの怒りではなく
刺繍の布で包むような穏やかなぬくもりを感じる展示でした。
画像は銀座の街中、工事中の壁面に張り付いた一匹の蛾。
火のようですごく綺麗だった。
堀江敏幸『曇天記』(都市出版)『坂を見あげて』(中央公論新社)刊行記念