創作において、言葉は大きな位置を占める。
人が発した言葉、本の中の言葉、音楽の言葉
たったひとことが、想像もしない広がりを見せてくれることがある。
そう考える表現者は多くいるのだろうし、
それを起爆剤として自分の中でイメージが膨らんでいく過程、
創作ノートを記している作家は少なくない。
日比谷図書文化館「DOMANI・明日展PLUS」の関連講座に伺ってきた。
「DOMANI・明日展」とは、
文化庁が人材の育成のために行っている芸術家在外研修の成果発表の場である。
本展は国立新美術館で、PLUS展は日比谷図書文化館で開催されている。
日比谷図書文化館で開催されるこの展示のタイトルは
“Books as trees, Libraries as forest”
白い本の森に、ことだまの雪が降る景色を想像した。
今年は1973年に在外研修に赴いた若林奮を中心に企画されている。
2003年に亡くなった若林奮を中心に企画に至った経緯を、企画者である林洋子さんが話された。
それは2016年にアニメーション作家である折笠良さんが研修時に持参した本が「I.W.ー若林奮ノート」(書肆山田)であったということから
『分野も違い、師弟関係もないふたりをつないだのは、「作品」よりむしろ「本」であったことがわたしのこころをとらえた」
(文化庁・芸術調査官 林洋子)
というのだ。
「若林奮ノート」つまり若林奮の創作ノートである。
ことだまが、面識のない、分野も、時代も違うふたりの作家をつないだのだ。
なぜ絵を描くのか、なぜ水墨画なのか
ふと、ことだまに魂が寄り添ってきてくれた夜に
短い文章を書くことはあるけれど、
それを常にやってしまうと、足が止まってしまいそうで怖い部分もあり、
意識的に言語野と切り離して創作に取り組んでいた部分もあったけれど
だから創作に没頭している時は人と会っても、
言葉が出てこない現象が必然的にうまれていたのだけど、
表現者として、己の作品の原点を深く解読して
できるだけ表層化した言葉でもって、表現した方がいい、と思った。
残された人生の時間に思いをはせると、
そのくらい自分を追いこむ方がいいかもしれないと感じたので、
創作ノートと言えるかわからないけど、
技法を残すだけでなく、魂を動かすに至ったトリガーくらいはメモしていこうと、
本の森で思った。
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