墨美神(スミビシン)は墨と水を使った水墨画なので、
基本的に墨が浸透しやすい和紙を使います。
ただ和紙もたくさんの種類があり、同じ種類、同じ産地、同じ原料でも、
その年の気候や、ちょっとした原料の配分の違いなどによって違いが出てきます。
その変化は描いている側にはよく分かるものです。
しかしそれはそれで受け止めて、墨と紙など材料の成り行きに任せて描くダイナミズムが
水墨画の醍醐味と思っています。
鳳香の墨美神(スミビシン)は、
それぞれの特徴を生かして、モチーフによって幾つかの紙を使い分けます。
特に好んで使うのは麻紙です。
繊維が粗く、にじみがコントロールできにくい。
紙と墨の成り行きに任せて、次の手を打っていく作業になりますが、
筋目が出ないので、慣れれば案外書きやすいのです。
墨美神(スミビシン)と言う存在は『人間を超えたもの』なので
麻紙はザラついた感触が表現できるため
ちょっと背中を逆なでするような表現がしたいときはこれを使います。
画仙紙も使います。
一言で画仙紙と言っても種類が多く、
木目の細かいにじみが出るものを選んで、やわらかなやさしい表情を表現するときに使います。
最近、よく活用しているのが鳥の子です。
これはにじまない紙、です。
表面につやがあり、生成色をしています。
たらし込み技法に適しているため、それを用いるときに使います。
さらに墨が滲まないので、鉛筆画のような風合いを出すことができます。
※これが鳥の子を使った墨美神(スミビシン)です。
ちなみに年末に問い合わせがあった今年から始まるワイドドラマの新シリーズで、
初回はモチーフとして水墨画で描いた美人画が登場するらしいですが、
これは二双紙を使ってあるトリックが展開されるようです。
和紙も墨も、まさに奥が深い。ということでしょうか。
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