墨美神®︎樋口鳳香のつれづれ

歌川派の墨絵師、墨美神®︎樋口鳳香のアートブログ。『墨美神®︎を描く講座』と『展覧会告知』を発信します

夏休みの自由研究に『水墨画』を!〈その2・墨〉

 

水墨画は、『墨』と、『硯(すずり)』と、『筆』と、『紙(和紙)』と、『水』

 

を使って表現する芸術=絵画です。

 

 

 

『墨』、『硯(すずり)』、『筆』、『紙(和紙)』は文房四宝(ぶんぼうしほう)と呼ばれ、古くから大切に使われてきた道具です。

 

今日からは、それぞれの道具について解説していきます。

 

 

 

まずは水墨画にとって肝心かなめの『墨』についてです。

 

現代の文房具の代表『鉛筆』は、その名の通り、鉛(黒鉛)を使ったものです。

 

では墨は?

 

墨は『煤(すす)』と『膠(にかわ)』で作られています。

 

今の時代で『煤(すす)』を想像するのは難しいかもしれませんね。

 

歌の中でも煙突掃除屋さんは煤だらけになったものですが、

 

現代はサンタクロースも煙突から入ってくることはないですものね。

 

『煤(すす)』とは、油や、木材を燃やした時に壁や天井に溜まる黒い物質。

 

いわゆる炭素の微粒子です。

 

 

 

そして『膠(にかわ)』とは

 

この煤の粒子をつなぎ合わせる接着剤の役割となるものです。

 

動物の骨や皮を煮込んで取れるタンパク質、ゼラチンです。

 

 

 

ちょっと化学的要素も入ってきて、自由研究らしくなってきたでしょうか。

 

 

 

さて、この『煤(すす)』と『膠(にかわ)』を混ぜ合わせて、墨ができます。

 

できたては、柔らかい状態なので、それを乾燥させます。

 

そのため、墨作りは冬。寒い乾燥地帯が適しているそうです。

 

墨といえば奈良が有名ですが、それには歴史的背景もあるようです。

 

古くは都であったことで、多くの寺社が集まり、

 

写経や学問に必要とされた墨の生産が盛んになったようです。

 

 

 

『墨』には、大きく分けると『松煙墨』と『油煙墨』の2種類があります。

 

それは原料の『煤(すす)』が何から取れるかの違いです。

 

『松煙墨』=松の幹など

 

『油煙墨』=菜種油など植物油など

 

 

 

 

この2つの違いは水墨画の表現に深く関わってきます。

 

そのため、芸術鑑賞の観点も加えながら、次回解説を続けます。

 

今日はここまでです。

 

 

 

 

 

 

 

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